なかなか自分の気持ちを伝えることが出来なかった為、最初に「笑っているカード」「怒っているカード」「泣いているカード」「困っているカード」…などの表情カードを用意し、気持ちを読み取る練習をしました。

今では来所時に本人の気持ちを確認すると、絵カードの中から選んで教えてくれるようになっています。

“来所してから行うこと”を声掛けでは出来ていましたが、自主的に行えるようになって欲しい、との事で来所時の流れをチェックボードにしてみました。

さらに自ら出来たら「○」を貼れるようにしたことで、今では率先して行ってくれるようになりました。

週に一回『お買い物学習』というイベントを組んでおり、『お金の計算』『店員さんとのやり取り』などの練習をしています。実体験を経験して頂きたく、長期休暇時には実際にスーパーやファストフード店に行き、『お買い物』を体験しています。

■中学3年生男の子

計算が苦手だったお友達が『100円』を意識し、小銭を使用できるようになりました。(継続して練習中です)

■小学2年生男の子

おやつ代を支払った後、店員さんに扮したスタッフに『ありがとうございました』の会釈が出来るようになりました。

ご利用当初は自分に自信がない事から声が小さく人前でお話するのが苦手でしたが、帰りの会で日直をしたりダンス発表会で始まりの挨拶を担当するなどの経験を経て、今では恥ずかしがる事なく自信を持って人前でお話出来るようになりました。

ご利用当初、場面緘黙症（ばめんかんもくしょう）傾向が強く、最初はご家庭や学校、特定の職員の前でしか発語が出ないという所から始まりました。

わざと喋らないのではなく、強い不安感から喋れない為、利用を始めてしばらくの間は来所を嫌がり、本人からも慣れない場所への強い緊張感が伝わりました。

支援会議を行い、まずはリラックスして過ごせる場所と感じてもらえるよう本人のペースを最優先とし、あえて喋らずともコミュニケーションがとれる方法の意見交換をしました。ジェスチャーであったり、頷きだけで答えられる言葉かけを行う事で、少し時間は掛かりましたが、着実に反応してくれるようになりました。

次のステップでは、本人の困りごとを伝えやすいよう、気持ちのボードを作成・提示することで、指差しにて自己発信が行えるようになりました。利用を開始してもう5年、今は声を上げて笑い１語文であれば言葉のコミュニケーションも交わせるようになりました。

ご利用当初は自分に自信がない事から声が小さく人前でお話するのが苦手でしたが、帰りの会で日直をしたりダンス発表会で始まりの挨拶を担当するなどの経験を経て、今では恥ずかしがる事なく自信を持って人前でお話出来るようになりました。

※場面緘黙症とは
普段ご家族の前や安心できる人や環境ではとてもリラックスでき、楽しく言葉でのコミュニケーションが計れるものの特定の場所や人の前では言葉が出なくなるといった症状です。

お友達のおもちゃを「貸して」と言えずに借りてしまう事がありましたが、本人が興味のあるシュレッダーを使用している際、「貸して」と言ってから紙を渡すようにしたり、ペットボトル分別のお手伝いで「貸して」と言えたらペットボトルを渡すようにすると、徐々に意識ができてきて、今では「貸してください」と言えることもあります。

その他の事例として…

・ 発語のないお子さんに対して話しながら口の形を見せたりジェスチャーを加えることで単語や手ぶりをすることができるようになっています。

・ 利用当初、先の見通しが出来ず硬直しイベントやおやつなど参加出来ないことが多かったのですが、スケジュール提示や絵カードを見せて本人が帰るまでの見通しを立てるようにしたことで、おやつやイベントに参加出来る機会が増えています。